城崎温泉から福知山へ(上)
2011年3月22~24日
歩行のキーワードは文学・蟹・東経135度・天橋立・大江山



2010年の秋からユーラシア歩行の日本編が始まった。日本西部では例のように希望者の居なかった城崎温泉から福知山を歩く事にした。城崎温泉から福知山への最短距離付近の県道を歩くと約70kmで3日で歩けそうである。しかもコース付近には見所もなく、ただコンクリート製の道路を見て歩くだけになりそうに思えた。だから、他に歩行の希望者がいなかったのかもしれない。そこで、発想転換して地図を眺め、遠く離れた名所旧跡を取り入れた。大分遠回りになり日数も増えるが一人旅の気楽さで欲張ったコースになった。文学・蟹・東経135度・天橋立・大江山が今回のキーワードとなった。
出発直前の3/11東日本大震災が起こり、計画を中止するか迷ったが予定通り歩く事にした。

3/22 早朝に船橋市の自宅出発、新幹線、山陰線を乗り継いで城崎温泉駅に 12時着。
城崎温泉 というと志賀直哉の小説「城の崎にて」が思い浮かぶ。志賀直哉のを偲び、旅の安全祈願にとまず温泉寺にお参りに行く。しかし、寺は意外に遠く、しかも山の中腹にあり往復 1 時間の寄り道になってしまった。
 
山陰本線城崎温泉駅、歩行の終着地点       温泉街
 
温泉寺                    薬師堂

13 時 今日の目的地、久美浜湾の小天橋目ざし歩き始める。14 時 気比の浜着。ここから十万分の一の道路地図にも出ている小道を通って標高 150m ほどの峠を越えれば小天橋は最短距離で、1.5 時間で到着という予想である。しかし、峠の登り口の村で 2,3 人に道の様子を聞くと、最近はあまり通る人もおらず道がどうなっているか不明とのこと。だが地図に道は載っているし、JPS も持っているし、ということで予定通り峠に向かう。田と里山の間の気持ちのよい細い道を行く。14 時 50 分、標高差 50m ほどの山並みのどこかが峠かな、と考えていると、突然それまでの舗装された小道が無くなり、山に突き当たる。かすかに道らしき痕跡はあるが、あちこちに倒木がある。おまけに小雨が降
り出す。引き返そう、と決断する。
この峠は標高150m程の低い峠だが兵庫県と京都府の県境の峠なので人の行き来が無く手入れもされないのだろう。  
 
13:30 丸山川沿いの道を日本海方面へ        13:40 河口の橋を渡り対岸に、日本海が見える

 
14:10 日本海に面した道を行く           14:20 小さな集落で道の様子を聞く

 
14:30 この先の山を越せば京都府になる       14:30 梅が満開だがこの先で道が消えている
                               小雨も降り出したので引き返す

15 時半 県道 11 号に出る。17 時 20 分 県境の三原峠、時々雨風が強くなる。府道 49 号に入り、18 時 10 分、小天橋(湊宮)の宿に到着。一時は今日の予定地点まで歩けないかと危惧したが、どうやら到着できる。
宿のある湊宮は日本海と久見浜湾に挟まれた細長い集落だが、夏は海水浴、冬はカニを売り物にした民宿街である。
 冬の山陰といえば蟹である。民宿だが蟹三昧の夕食を堪能した。
 3/22 歩行距離:15km
 
15:50 県道に戻る                 17:30 兵庫県から京都府に入ると雨が強くなる

 
19:00 蟹一色の夕食              翌朝、宿からの風景、日本海と久美浜湾を繋ぐ川
  
  ・・・・・・・・・・                 ・・・・・・・・・・

3/23:8 時半 宿を出発し日本海と久美浜湾に挟まれた道を行く。初めは日本海を左に見ながら県道を歩いていたが、右側の久見浜湾側に出てみると波打ち際になにやら白い物がある。近づいてみると、カキ殻の白で誰かがカキを採った跡である。それからはカキを見つけながら歩く。採られた跡や小さいのは沢山あるが、食べられそうな大きさのはなかなかない。大きそうな物を見つけると殻を靴で蹴飛ばし、身を海水で洗ってたべる。身が小さいせいかあまり美味しくはなかったが自分で収穫したものの味は格別である。
夢中でカキを探していると、ゴツン***となにかが頭を直撃、しばらくうずくまる。見ると頭の高さに桟橋がある。カキ探しに夢中になって目に入らなかったのだ。しかし、懲りずにカキを探しながら歩く。ずうっとこの道を歩いていたかったが、30 分ほどで泣く泣くカキの久見浜湾に別れをつげた。しばらく畑と松林の続く平坦な道を行く。
 
8:40 日本海側の砂浜を歩く                9:00 久美浜湾側は波静かで漁港である

 
9:00 カキを探しながら歩く          9:00 あの桟橋に頭をぶつける

 
9:00 久美浜湾の対岸                  9:30 今日は箱石浜、夕日が浦、網野の先まで
                               歩く
 
9:30 海沿いの平坦な県道を行く         11:00 夕日が浦の浜辺が終わると海岸は崖が多くなる

11 時 夕日が浦浜詰のスーパーで昼食を仕入れ、京都府の近畿自然歩道「五色浜と夕日ヶ浦をめぐるみち」を歩き出す。歩道といってもほとんどは府道 665 号で、2 箇所ほど海岸線に沿って遊歩道があったが、今回はパスして県道を歩く。浜詰の町を出ると田畑も漁港もなくなるが山の中に所々、村落がある。家に近づくとギッコンバッタン、ギッコンバッタンと音がする。このあたりは丹後縮緬の産地と聞いているので、その工場なのだろう。山の中なら地価も安いし、騒音も問題ない訳だ。
12 時半 標高 150m ほどの七竜峠で昼食。峠からは今日の出発地付近がよく見えた。
 
11:50 砂浜の海岸が終わる            12:00 小さな漁港を過ぎ
 
12:20 登り下りの多い道になる     12:30 朝歩いて来た所が一望に、中央は日本海、左は久美浜湾
                       2つの海の間を歩いて来た

13:30 崖にへばりつく様な集落(網野町磯)が見えてくる

 
13:40 磯集落は静御前の生誕地           家は重なり合う様に建っている
 
14 時 子午線最北端の塔:東経 135 度の日本最北端と言うことだが、私の JPSでは 135 度 00 分 11.2 秒だった。00 秒の地点は塔(公園)を造るには不適当だし、135 度以下は四捨五入と考えれば妥当な場所である。
14 時半 海岸線を離れ、網野の町に入る。町の入り口にある日枝神社と浦島太郎の神社に参拝する。網野の町は意外に大きく、抜けるのに 30 分近くかかる。後は今夜の宿を目ざし、県道をひたすら歩く。
16 時 45 分 あじわいの郷ユーラピアホテル着。地震の影響か宿泊客は私一人ということだった。この宿でも蟹ずくしの夕食だった。
   3/23 歩行距離:20km
 
14:00                          14:00 子午線公園

 

 
14:20 海岸の山間の道もいよいよ終わりに近ずく    14:40 日本海沿いの道もここでお別れ

 
14:40 日吉神社                  14:50 嶋児神社(浦島太郎)

 
15:10 網野町市街                 16:30 今夜の宿に向かって歩く

 
17:00 ホテルの部屋より                ここでも蟹が主役

      ・・・・・・・・・・                 ・・・・・・・・・・

3/24 9 時出発。2 時間ほどは低い山と里山の間の県道をあるく。11 時頃からは丹後峰山、大宮の平野部を歩く。途中、縁城寺、多久神社、大宮売神社を参拝。この寄り道は全部で 1 時間ほど。
社寺に参拝:歩いている地方は京都府であり、出雲大社にも近いせいか古い社寺が多いことに気が付いた。そこで時間の許すかぎり参拝していくことにする。
 
9:50 縁城寺参拝、昔は立派な寺だったようだが

 
11:10 多久神社

 
11:50 竹野川を渡る。午前中は平坦な道ばかりである  13:10 大宮売神社で昼食

14 時 森本という村落から、標高 250m程の峠に向かう。山が細長く、天橋立を望む景勝地のためか 3 本の峠道があるが、今夜の宿への最短距離になる真ん中の道を選ぶ。山に入った途端(に残雪、倒木が現れる。一瞬引き返そうかとも考えたが、車道なので道ははっきりしており、足跡も2,3あるので先に進む。雪の少ないところを選び、倒木をくぐり長い時間歩いたような気がしたが、
15 時に峠に着く。峠には 3 月 18 日(道路)開通予定と書かれていたが、雪が多く遅れているのであろう。峠からの下りは雪も少なく倒木もなかった。坂を下りきるとそこは天橋立が正面に見える岩滝町だった。この日の最後は天橋立の松並木を海越しに見ながら海岸の遊歩道を歩いた。
17 時 天橋立前(天橋立の北側)の宿に到着。この日の夕食もカニ。
 3/24 歩行距離:23km
 
13:50 峠に向かう道に入る         14:40 峠手前はまだ雪がのこっている

 
15:40 峠を下ると町(与謝野)越しに天橋立が見えてくる 16:20 海岸(阿蘇海)沿いの遊歩道を歩く

 
16:20 天橋立の付け根にある今夜の宿目指して歩く        16:20


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