山梨県編
東海自然歩道と寄り道登山
2016年12月11日~2017年6月4日


富士山が東海自然歩道の門出を祝ってくれた。「富士には湖がよく似合う」

山梨県の東海自然歩道は富士山を中心に東から北へ、さらに西に向かっている。
富士山を東西南北方向から撮った。尾根や沢を比較しながら見るのも面白い。
2016年6月に膝半月板を手術しリハビリも順調に経過しているので、そろそろ山に復帰しようとかんがえた。日本百名山は登り終えたし、高い山はちょっと膝が不安、低山はあまり登っていなかったので、毎回何処に登ろうか探すのも面倒である。というわけで、東海自然歩道にたどりついた。
東海自然歩道は東京の高尾山から大阪の箕面公園まで結ぶ約1200kmの自然歩道である。この歩道は標高1000m前後の低山の登山道と、一つの山から次の山までの道路で成り立っている。田中陽希の百名山一筆書きの東京~大阪低山版である。足に不安を抱えた老年期のワンダラーにはピッタリかもしれない。

東京から大阪まで長いし神奈川県は歩道の中で一番山深く、私の膝には不安がある。そこで、自分なりにルールを作った。
イ) 東京からではなく山梨県から始める。一つの県が終わったら区切りをつけ、自分なりに祝い、先の県に進むか再考する。
ロ) コース上の山以外、コースの近くの山に「寄り道登山」をして「歩き」を楽しむ。一泊二日を基本にし、一日に長時間歩かない。

1日目 2016年12月11日(日)
自宅を早朝に出発し、山中湖に寄り富士山に挨拶してから10時に山中湖村平野から歩き始める。自然歩道コース上の平尾山(1318m)、太平山(1296m)を経て忍野村まで約15kmを歩く。2つの山を登り、10km程のアプローチを乗り物を使わずに歩くというのが初日の東海自然歩道だった。終日冬の富士山が大きく見え、門出を祝ってくれているようだった。初日で足の具合も未知数なので日帰りにした。

 注)以下の写真の日付けは1日ずれています。10――>11
 
 初めての東海自然歩道指導標    平尾山山頂より 「富士にはすすきが良く似合う」
一応東海自然歩道の出発点とする     11日は一日中富士山を東側から見ている                             

 
  「富士には肩雲が良く似合う」          太平山山頂より 「富士には光頭が良く似合う」
                             

2017年3月19~20日 忍野村から足和田山(1355m)、青木ヶ原樹海を経て精進湖民宿村まで歩く。
足和田山からの富士山がきれいだった。(宿泊:鳴沢村)(歩行距離:約33km)
19日、終日道路を歩く。新屋山神社、北口本宮富士浅間神社に立ち寄り、これからの歩きの無事を祈る。
富士吉田市新屋にある山神社には名前に惹かれて立ち寄り、参拝する。小さいが立派な社殿で参拝者が絶えず、賽銭箱には紙幣が見え隠れしている。たまたま祭礼日に行き合わせたと喜んでいたのだが・・・後日調べると365日この賑わいのようだ。新屋(あらや)山神社と言い「日本一の金運神社」とネット起業家で評判らしい。山は山でも「山を掛ける」の山のようだ。私も紙幣を奮発すればよかった。
富士浅間神社には何回もお参りしているが、重文の建物、大きな杉の木にいつも圧倒される。

 
 新屋(あらや)山神社(金運の神様)      北口本宮富士浅間神社:屋根の形が山神社とよく似ている

20日、一転して足和田山と青木ヶ原樹海の中の歩道と山モードだった。

 鳴沢村(足和田山の麓)から朝焼け富士 「富士には朝焼けが良く似合う」
 20日は富士山を北側から見ている

 
 林間には残雪があった     足和田山より  「富士には木の額縁が良く似合う」

 
 足和田山の紅葉台より、「富士には木の間越が良く似合う」  青木ヶ原樹海の中の道

4月15~16日 精進湖民宿村から竜が岳(1485m、寄り道登山)、朝霧高原、陣馬の滝を経て田貫湖まで歩く。(宿泊:精進湖民宿村)(歩行距離:約30km)
15日、初めての寄り道登山として竜ヶ岳に登る。富士山は真正面に見えたが春霞でもやっとした富士だった。しかし、山麓では野焼きが行われていて、赤い火と煙が印象的だった。?春霞ではなく野焼きの煙が?
(注)15日の宿泊地が今回の歩きの出発地点だったので、バスで先まで行って西から東に逆に歩き、宿泊地が今日の歩行の最後になるようにした。

 
 竜ヶ岳山頂より 「富士には春霞が良く似合う」    竜ヶ岳より見た朝霧高原の野焼き

16日、宿の人に15日の出発地点まで送ってもらう。この日は山沿いの林道歩きが主。ただし、歩いたのは山梨県ではなく静岡県の自然歩道だった。静岡県の富士山が歓迎してくれたらしく、一日中よく見えた
これまで一日の歩行時間は5~6時間、五日間で約75km歩いた。自然歩道の1/2は山道、1/4は舗装されていない林道であり、自然歩道の名に恥じない道である。しかし、関西の方に行くと舗装道路が多くなると聞いている。土日に歩いたためか自然歩道の登山道では多くの登山者に出会ったが、平地の自然歩道を歩いている人には一人も会わなかった。四国の遍路道の賑わいに比べると雲泥の差である。
午後になると足に鈍い痛みが出てくるが、歩けない程ではなかった。このまま強い痛みが出ずに、歩き通せればよいのだが。このペースだと歩き終えるのは5年以上先になりそうだ。それまで後期高齢者の体力、知力、気力がもつかどうか、それは考えないことにしよう。
 
                人口?自然?の小山の山頂に人が 「富士には小富士が良く似合う」
                16日は富士山を西側から見ている   朝霧高原付近
 
 富士山の中央部に大沢崩れが見える 「富士には草原が良く似合う」   麓のつり橋

 
 陣馬の滝、趣きの違う3本の滝   富士より高い鯉のぼり~ 「富士には桜と鯉のぼりが良く似合う」
                  猪之頭付近より

5月20日~21日 田貫湖の長者が岳登山口~長者が岳(1336m)~天子が岳(1330m、寄り道)~上佐野(宿泊:清涼荘)~思親山(1030m)~JR井出駅~大尻  (歩行距離:29km)


20日、この日も快晴である、というより晴れの日を選んで歩いている。長者が岳からはまた山梨県になる。長者が岳山頂で富士を眺めながら昼食、天子が岳に寄り道登山をした後、上佐野に向かう。長者が岳から上佐野に至る道は、東海自然歩道の難所といわれる道である。この日も長者が岳、天子が岳では登山者に何人も会ったが、この道では誰にも会わなかった。歩く人が少ないのと崩れやすい地形のせいか片斜面の踏み跡程度の道が延々と続く。要所にピンク色のテープが木に巻かれているので、迷うことはないが、ロープを頼りに崩壊地を横断する所もあり、登山初心者には冷や汗ものだろう。実は、私も最近年をとったせいかバランスが悪くなり、悪路になるとストックを頼りに歩いている。バランスがもっと悪くなり、冷や汗が増え、怖くなったら山歩きは終わりにするつもりである。
(注)以下の写真の日付けは正確です。
 
 長者が岳山頂より 「富士にはたなびく雲が良く似合う」
20日も富士山を西から見ている

 
                  天子ケ岳山頂より 「富士にはトンボが良く似合う」

21日、清涼荘を出るとすぐに思親山(ししんざん)の登山道が始まり延々と6時間半、思親山にお世話になる。10時に山頂、富士山は春霞にかすんでいた。下山道が長かったので、なぜこの山の名前が思親山「親を思う山」なのか、考えながら歩いた。山は南北に長くなだらかで全山、杉の植林地である。この山の持ち主は親やその親が植えた杉のおかげで生活できる。杉を見るたびに親に感謝し親を思い出し、山にこの名前を付けた。まあ、そんなところだろうと想像した。この日は快晴で日向は暑かったが、杉の下は10度程気温が低い感じで、私も杉を植えた人に感謝しながら歩いた。
後日調べた所「日蓮聖人が身延山で修行した折、この山越しに故郷房州方面をみて、父母を偲んだという伝説から思親山になった。」と、なっていた。長者が岳、天子が岳と今回登った山は伝説を秘めた山のようである。

 
 上佐野の茶畑、山梨県なのに?  思親山山頂より 「富士には春がすみが良く似合う」(これは2度目?)
これが山梨県の歩行中に見た最後の富士山 「富士には月見草が良く似合う」かどうかは検証出来なかった。

 
 杉の植林地が延々とつずく             富士川、自然歩道で渡った初めての大河

6月3日~4日 大尻~鯨野~峠(530m)~奥山温泉~(車)根熊山荘(宿泊)~奥山温泉~田代峠(1030m静岡県境)~軍艦岩~やませみの湯先三差路  (歩行距離:30k)
今回は山頂への登山無しで、峠を2つ越える自然歩道だった。2日間とも、まず県道から舗装された林道となり、次は非舗装(車禁止)の林道、最後は登山道になり峠に着くパターンで、峠からは逆のパターンになる。登山道の部分はあまり歩かれておらず、峠からの眺望は良くない。西に行くとこの様な自然歩道が多いと聞いているが、山の代わりに寺社が多くなるので、遍路のつもりで寺社詣も歩く目的に加えれば、モチベーションが維持できるかもしれない。
この2日間、晴れていたが歩行中に富士は見えなかった。富士から離れたのと春霞のためだが、相棒が居なくなったようで寂しい。しかし行き帰りの車中からはよく見えたので、良しとしよう。

 
小さな神社だが「八雲神社」の名前に惹かれて参拝  小さな峠への道だが歩く人がいないようで荒れていた


 
 田代峠への道も荒れていて、苔むしていた。         田代峠(山梨県と静岡県の県境)
           
       
 田代峠付近から見た静岡県側     (付録)南側から見た富士山(6/3富士駅付近より)
                     「富士には宝永山が良く似合う」

6/3の歩行終了地点の奥山温泉から宿までは約10km、バスも無いのでヒッチハイクで宿まで送っていただく。自然歩道を歩き始めてから3回、ヒッチハイクで駅や宿まで送ってもらった。ヒッチハイクは若い頃から利用おり、農業用トラクターに乗せてもらった事もあった。ヒッチの際の私なりの心得を記してみると、汗でぬれた服を着替え、ザックを背負い、車が来たら親指を上げる。平均すると5台目程で乗せてもらえるので、あきらめない事。行先は数か所用意しておくとよい。乗せてもらえたら、歩いている理由やその土地の印象等を話し、会話をとぎらせないようにする。昔はタバコやあめを用意しておいたのだが。
山梨県の総歩行距離:137km(ただし、静岡県部分約30kmも含む)、延べ日数:9日

山梨県の東海自然歩道は富士山を東から、北から、西から眺めながら歩いた歩道だった。歩き疲れた時に顔をあげると富士山が目に入った。初めての県に山梨県を選んで良かったと思う半面、これ以上景色の良い県は他にないと思うと山梨県を後にすればよかったかな、との思いもある。
山梨県の東海自然歩道は満足できたので次は静岡県を歩く事をきめる。


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