ルクセンブルクを歩く
1997年8月29~30日
ユーラシア・ワン5区の終盤はベルギー国境からルクセンブルクに入りルクセンブルク駅
までである。


ルクセンブルグの歩行経路

『・・・』内は当時の手記   (注)「ベルギーの分水嶺を歩く」の続き。
『8/29 朝から雨、結構降っているので完全武装。9時銀行に行き、ルクセンブルクの通貨に変えようとしたが、ベルギーの通貨が使えるという。銀行から2~300m行くとルクセンブルクのはずだが、昼食の食品を買おうと店を探しながら歩いていると、30分歩いてもルクセンブルクにならない。聞いてみると出発点の辺りの家があまり建っていない方向に直進すれば良かったらしい。戻ってみると標識にルクセンブルクを示す文字は無く、ルクセンブルクの町の名前だけがあった。ルクセンブルク側の町はホテルが数軒あっただけだった。また、ルクセンブルクとの国境は結局分からなかった。
ルクセンブルクに入ってからは地図を見て、林や川沿いの歩道を探して歩く。また、車のほとんど通らない村と村の間の道、岡の麓の川沿いの歩道を14時頃まで歩く。14時頃には雨も上がり、岡の上の小道を360度地平線の見える道を行く。緩い下りで快調にあるく。15時ごろからは国道沿いを歩く。さすがに車は多く、2~3分毎に来る。

17時半頃、ポリスの車がくる。わざわざ私の横で止まり、質問後はUターンして帰った所をみると誰かが通報したのだろう。パスポート見せるのと何をしているか聞かれたが、ハンガリー辺りの難民と思われたのかもしれない。
18時Sauleの町に着いたが予定していたホテルが無い。町の人がタクシーを呼んでくれ、10km程離れたホテルのあるMerschに行き、泊まる。
* 行動時間:9時間、歩行距離:30km、直線距離:21km、車道を避けて寄り道したが、その甲斐があった。
* あと半日歩けばこの歩行も終わりを迎えられそうである。』
注) 現在Topo地図を見るとMartelangeの町の北と南には国境線が引かれているが、町の中には国境線は書かれていない。国境を決めずに暮らしているようだ。私が歩いた時はEUが出来ていたので、そのせいで国境がないと思っていたが、EUが出来る前から国境が無かったのだろう。

 
 9時、雨の中を出発。銀行と店に寄り道、がいけなかった。国境を探して1時間迷う。

 
 10時 この辺りからルクセンブルクといって良いだろう  ルクセンブルクの林、ベルギーと変わりはない

 
 10:30 Haut-Martelage村         村と村の間の道

 
 11:00 Perle村              遠くに村が見えてくる

 
 12:00 Holtz村 結構大きな村だ      村を出ると一面の牧場

 
 12:30 林と水辺を求めて寄り道        ルクセンブルクの川、日本の川と同じだ!

 
 13:00~30 水辺で昼食        14:00また牧場へ

 
 車道を横切り・・・・・             14:20 また牧場の中へ、晴れ間が覗くようになる 

 
15:00 道の無い牧場の境界を歩く       土の道は快適だ

 
 360度地平線の見える道、少し下り坂で快調に歩ける    15:30からは国道を歩き18時Saule到着

『4/30 8:30 昨日の所までタクシーで戻り、歩き始める。曇り空だが雨は降っていない。朝の1時間程は国道を避け、農道を歩く。しかし、途中プライベートの道になり、30分間ヒヤヒヤしながら歩く。それ以降は適当な寄り道できる道が無く、国道を行く。
12:30 ルクセンブルク市の繁華街に入ったので今回の歩行を終え、近くのバルで乾杯し、タクシーで駅にむかった。(繁華街の道は分かりにくいので、省略してよいという規則を作ってくれた先輩に感謝である。)
午後市内観光をして、16時半頃の列車でブリュッセルに向かう。 
歩行時間:4時間 歩行距離:17km』

 
 9:00 農道からの景色              小さな橋もレンガ造りが多い

 
 9:45 Dondelngeで国道に戻る。         ルクセンブルク市まであと11km  

 
 国道からこんな風景も(菜の花)                11:00 Kopstal   

 
 11:30 木陰で歩行最後の昼食           ルクセンブルク市に入る

 
 人家が出てくる              12:30 繁華街に入たので、今回の歩行を終える事にする


午後はルクセンブルク市内観光 ここも平らな土地に蛇行した川が30~50m陥没して流れている。城を作るには最適な場所のようだ。

『ルクセンブルクからブリュッセルへの列車の中で今日の感想を書いている。200kmを無事歩き終えた訳だが、ビールの酔いのためか、何も感じない。ただ、もう歩かなくてもいいのだな!の一言が思い浮かぶ。足もジーンとしてもう歩けないといっている。
窓の外をぼんやり見ていると、11日間毎日歩いた景色、牧場、2~30軒の集落、教会の尖塔、林、牛、緩やかな川、小道、この風景が繰り返し現れる。今はベルギーに入った所だ。空は晴れてきた。あれだけ悩まされた雨の季節も終わったようだ。
11日間毎日歩いた200kmをこの列車は3時間半で走ってしまう。明日日本に帰るが土産は何にしよう。ビールが効いてきて眠くなった。』

後日の感想:この歩行はユーラシア歩行1回目のロンドン~ドーバーの次に行った2回目(私にとっては初めて)の歩行であった。そのため歩行に関してのノウハウをあまり聞いておらず、手探りの状態で出発した。歩いている間に、荷物を持たずに歩きたいが荷物をどうするか、複数で歩く場合別々に歩く方が効率が良いがどのように再会するか、等の問題がでてきて自分なりに解決した。
歩行経路に牧場や畑の中の小道、川沿いの道、観光地への寄り道をすると道を間違えたり、余分な距離を歩いたりする。一方、国道を歩くと高低差は少なく、最短距離を行き、道の間違いも無く時間は半分で目的地に着ける。私の場合、午前中は景色の良い歩道を歩いたり、観光地に寄り道しながら歩いたが、予定の距離を歩くため午後は国道を歩いた。私がブリュッセルからルクセンブルグまで全て国道を歩いたとすると6日間で歩ける計算になり、5日間観光地巡りの時間が取れる。最短距離を国道で歩き、観光は別の日にするという選択肢もあった。しかし、1日中車に注意しながら、国道の単調な景色を見ながら歩くのは3日、100kmが限度で、200kmを歩くのは精神的に耐えられないだろう。


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