アルデンヌの森を歩く
1997年4月27日


ベルギーを歩くにあたり、地図を見ていたとき、アルデンヌという地名を発見した。
「アルデンヌの森」という言葉が記憶の底にあった。たしか・・・昔よく見たテレビの「コンバット」に
繰り返し出てきたような気がする。深い森の中にサンダース軍曹の腰かけた倒木が残っているかもしれない。
遠回りしてもアルデンヌの森を歩こうと決めた。

コンバットにアルデンヌの森が出てきたか、確かではない。しかし、第二次世界大戦の末期にドイツ軍が最後の大反撃に出た史実を基に作られた映画「バルジ大作戦」の舞台がアルデンヌの森である。「バルジ大作戦」は見た記憶があるのでアルデンヌという言葉が記憶に残ったのかもしれない。
しかし、アルデンヌの森を地図等で探したが見つからない。どうもアルデンヌ地方にある森の事をアルデンヌの森といい、固有名詞ではないらしい。地図で探した所コース上1カ所森があったので、自分でアルデンヌの森と名付け、歩くのを楽しみにしていた。

(この歩行はユーラシア・ワンの一環として歩いたので、アルデンヌの森までの歩行も記した。)
4/27 この日の行程は時間がかかりそうなので、前日に宿泊地(アン・シュール・レッス)から1時間程歩いておいた。しかし、たまたまこの日は日曜日だったため、朝食の時間は8時半、タクシーは休みとトラブル。仕方なく宿から歩きだしたが、1台目でヒッチハイクに成功。昨日の歩行最終地点に運んでもらう。サンキュウ。
9時半 歩行開始。付近の風景は畑が少なくなり牧場、林が主になる。
10時半 牧場が無くなり道の両側が林になる。高低差はあるものの山の様な三角形の地形は無い。11時に標高差100m程のピークを越え、また下りになる。

 
 前日歩いた時の目印、この日の歩行開始地点       森の手前の最後の村

 
 最後の牧場、その向こうは木、林、森       道の両側が林になる

 
 そして森らしくなるが 

11時40分 アルデンヌの森入口に到着。正式名称はセント・ミカエル(Sant Michel)の森のようだ。標高は300mほど。まず、森の中を川に沿ってさかのぼる。この川は昨日歩いたレッス川の支流のである。山の中の川のように見えるが、周りに山はなく、岡の間に水が流れているのが、地図から読み取れる。道は日本の林道という感じで車も走れる。途中、川が道から離れたので、川沿いの道のない所を歩いたが、ぬかるみがひどく、引き返す。レッス川の源頭部には行けなかったが、ほぼその近くには到達した。



 
 どうやらセント・ミカエルの森と書いてあるようだ    森を歩く時の注意書き?


 
                        レッス川(支流)の最上流部


 
 川幅は狭くなり、道から離れる                           

13時45分 川は無くなり、周囲はどこも平らになる。道も自由に造れるためか、幅が広くなる。森の分水嶺に達したようだ(標高は500m程)。突然国道N846が森を引き裂いて貫通している。国道を横断するとまた森が続いている。

 
 森の中の道                  森の真ん中辺りを国道が通っている

14時45分 道のない所を歩きたくなり、道を外れ、磁石を頼りに南に真っ直ぐ歩く。高い木はあるが、藪もなく、雪解け直後のような落ち葉の中を歩く。長いように感じられたが20分程でまた道にでてしまった。その後も2回程道を外れて歩いてみる。しかし、残念ながらサンダース軍曹には会えなかった。

 
 道のない所を真っ直ぐ歩く             落ち葉、倒木以外凹凸も少ないので歩きやすい


 
 しかし、すぐに道に出る             伐採地もある。よく管理された森のようだ


 
 木が密集して暗いる所もあるが、日本のように等間隔に並んではいない

 
17時20分 アルデンヌの森を抜ける。

 

17時40分 宿のあるLavacherie村に着くが、宿は休みで宿探しに苦労した。

アルデンヌの森はもう少しワイルドかと期待していたが、私の感覚では林程度である。しかし、平地なので畑や牧場に簡単に変えられる場所に、7時間かけて横断するような広大な森があるのに驚いた。日曜日なのに森の中では誰にも会わず、静かな、充実した1日だった。


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