ミューズ川・レッス川を歩く
Meuse・Lesse
1997年4月24~26日 |
ユーラシア・ワンでベルギーを歩いた際、Meuse川、Lesse川沿いに3日間歩いた。 ベルギーには山は無いので川のトレッキングと考えここに加えた。 |
(当時の手記を参考に書く)
1997年にユーラシア・ワンの一環としてブリュッセル~ルクセンブルク間200kmを歩いた際、ベルギー南東部のミューズ側沿いの町ディナン(Dinant)を通った。川から見上げると高さ100m程の山の上にシタデール(城塞)がある。ここは有名な観光スポットなのでロープウェイがあり、歩きを中断して上がってみた。城塞の展望台からはミューズ川や町が見下ろせる。しかし、体を180度回して川の反対方向を見ると、そこに見えるのは・・・山でも谷でもなく、城塞と同じ高さの平地が地平線の彼方まで続いていた。川を挟んだ反対側も同様だった。高原状の平地を高さ100mも浸食したミューズ川が流れていたのだ。 後日、ベルギーに山があるか調べてみた。地図を見ると所々に400m程のピークはあるが、山(フランス語圏なのでMont)の記号はない。歩いている時も日本の山の様な地形は見た事はなく、なだらかな高低のある岡の連続だった。唯一目にした山らしい地形は、ワーテルローにあるライオン像の岡とよばれるナポレオンを記念した50m程の人口の岡だった。ベルギー人は山を見たことが無いので、小さな山らしいところがあっても、山とは呼ばないのであろう。 4/20にブリュッセルを出発し、4/23にナミュールまで歩いたが、その間はほとんど道路を歩いてきた。地図を見るとナミュールから先には川があるので、しばらく川沿いを歩く事にする。ミューズ川はフランスからベルギーを通り、オランダで北海にそそぐ大きな川である。ナミュール(Namur)とディナンは共にミューズ川の中流域にあり、25km離れている(ディナンが上流)。丁度よい距離なので、まずはこの間を歩く事にする。 4/24 10時 ナミュールの繁華街を抜けた辺りから歩き始める。国道947を1時間程歩くとミューズ川が身近に見えてくる。対岸の水際には遊歩道があるのが見えるが、こちら側(右岸)には遊歩道はない。しかも川と道の間には個人の家があり、川に近ずけない。左岸にも国道N92が通っているが、右岸のN947の方が交通量が少ないだろうと思い右岸を選んだのが間違いだったようだ。 ミューズ川、対岸の水際には遊歩道がある ミューズ川沿いを歩く事1.5時間対岸に渡れる 12:20 ダム(船のセキ)の小橋によりやっと対岸の遊歩道へ、地図によるとディナンまで続いている。しばらくこの遊歩道を歩くが、木曜日のためか2時間半ですれ違った人は10人程。川幅は2~300m程で流れはほとんどなく、深さは不明。川岸はまず川があり、巾2m程の遊歩道、次に個人の家、国道N92、山(?)の様な構成の所が多い。 遊歩道 対岸までは2~300m 15時 2時間半遊歩道を歩くと、単調で飽きてくる。近くにアンヌボア城(Annevoie)があったので、寄り道する。川から坂を登り城に着いてみると、受付の人に城の内部は入れず庭だけと言われ、城は諦めて山道を歩く事にする。が、しかし、辺りは山ではなく、平らで畑と牧草地である。そこをディナンの方向目指して地図を頼りに歩く。 アンヌボア城(d'Annevoie)、城まで行くが見学せず アンヌボア城近くの牧場 17時 ミューズ川沿いの国道に出るが、遊歩道に降りる道がない。 18時 ディナンの町に入り、歩行を終える。 4/25 昨日はナミュールに泊まり、朝の電車でディナンに戻る。歩く前に駅前のシタデールをケーブルを使って観光。シタデール(城塞)はどうということもなかったが、高い所から見たミューズ川の風景はよかった。 シタデール、下から見ると山のようだが? シタデールの上からミューズ川を見下ろす 10:45 歩き始める。1/5万の地図を見ると、ミューズ川の支流のレッス(Lesse)川は蛇行して流れ、川沿いに道がありそうなのでここを歩く予定である。レッス川に沿って30分程は快調だったが、崖に阻まれ上流に向かう道がない。絵を描いている人に聞くと、水は膝あたりまであるが、歩いて渡れば向こう岸に道があると言う。やってみたが、水の冷たさ、深さで途中で引き返す。おかげで岡を登り、再び川に出るまで2時間農道を歩く。おまけに昼食に買った小麦粉を使っていないと言われたパンを食べた所、小麦アレルギーの軽い症状が出る。そこで、ペースを落として歩く羽目になる。 渡渉しようとした地点 このような農道を2時間歩く 14時 またレッス川沿いの道にもどる。そこから先の道は素晴らしかった。川は蛇行して流れ、その脇に歩道がある。道の山側は高さ50m程の崖がありその先は岡である。すなわち、平らな地面に深さ50m程の蛇行した溝があり、そこに水が流れているのがレッス川なのだ。渡渉出来ず岡を歩いたおかげでそれが分かった。しかし、歩道を歩いていると深山の渓谷沿いの道を歩いているように思える。約3時間川に沿って歩く。1時間に1か所ほど一般道と交差し、そのあたりだけキャンピングカーのような小さな家があるが、それ以外、脇道はない。1度この道に入ると1時間は歩かなければならない。しかし、傾斜がほとんどないので楽である。 やっとレッス川に戻る 川沿いの道 数少ない橋 水量は多いがなんとなく濁っている 唯一の山らしいハシゴ付の道、5mだけ 周りの崖(岡)が低くなってくる 3時間久し振りに山歩きを楽しんだ。 17時 Houyetの村に着く。幸いこの村にホテルがあり泊まる。 4/26 朝から小雨。ゴアの雨具に傘の完全装備で歩く。(この日から最後の日まで小雨もよい) 8時半 歩行開始。Houyetの先のレッス川は蛇行はしているが平地と同じ高さの所を流れている。また、道は川に沿ってではなく直線的になっている。 始めの1時間は岡のすそ(山沿いのように見える)沿いの道路を歩く。 次の1時間弱は国道を歩く。(川は大きく蛇行しているが川沿いに道が無い。) Houyet村 N94 直線的なので目的地に早く着くが 10時半 また歩道に入る。ぬかるんだ道30分、快適な道、川沿いの道。レッス川だが、川幅は狭い。 レッス川水面と道路や畑までは高さ1mもないが、堤防は見当たらなかった 12時 雨が強くなった所で、村の中にレストランを発見、昼食に鮭を頼む。食べ終わると雨は止んでいた。 午後は今日の目的地アン・シュール・レッス村(Han-sur-Lesse)を目指して急ぐ。ここには有名な鍾乳洞があるので見学の予定である。 この辺の道のあちこちに十字架が建っている ここにも十字架が 平らで道の曲がり具合が何とも言えない アン・シュール・レッスの村の中にもレッス川が流れている 14時40分 アン・シュール・レッス村着。早速洞窟観光に参加。以下のガイドブックどうりだった。 アン(Han)の洞窟:「レッス川が地下に潜って作り上げた10km近くの洞窟。洞窟のガイドツアーは約1時間半。高さ129mの鍾乳石の山あり、地底を流れる川を渡る橋ありと、日本の鍾乳洞とはスケールが違う。ツアーの途中には音と光のショウなどもあり、スリリングな探検気分が味わえる。帰りは小さなボートに乗り、レッス川を下り地上に出る。」 レッス川を歩いて来た私にとって洞窟内でもレッス川を歩き、船にも乗れるとは貴重な体験だった。 電車の脇にLesse川が流れている 最近の地図では地下部分も書かれている 3日間川に沿って歩いたが、日本の川との違いが新鮮だった。平地にあるのに堤防を造ったり、蛇行部を直線にするなどの手を加えた所はないようで、自然のままに任せているように見えた。 ベルギー アルデンヌの森を歩く に行く トップページ へ戻る |